健診が発見の契機になった重複癌 (子宮頸部腺癌および卵管癌) の1例

1997 
患者は63歳の女性で定期的に健診を受けていたことにより, 早期の重複癌, 卵管癌および子宮頸部腺癌が同時に発見された.健診時の子宮頸部細胞診では, 子宮頸部腺癌が, 後に精査目的で行われた内膜細胞診では, 附属器由来の悪性腫瘍が示唆された.これらの診断のもと単純子宮全摘術および両側附属器切除術が施行され, 卵管原発低分化型漿液性腺癌と子宮頸部原発内頸部型上皮内腺癌の重複癌と病理組織学的に診断された.卵管癌は, 一般に卵巣癌と比較してearly stageで子宮腔内に出現することが特徴として報告されている.術前に卵管癌を診断することは困難であるものの, 本症例においてはretrospectiveに検討すると, 内膜細胞診で同定された流入異型細胞の量が通常経験される卵巣癌の流入量よりも多かったこと, これに加えて健診時の頸部細胞診標本にも同様の異型細胞が混じていたこと, 両卵巣は画像上正常大であったこと, 腹水は存在しなかったことなどは卵管癌の可能性を考慮すべき所見と思われた.卵管癌は, 術前診断が困難で, 早期発見の有効な方法が確立されていないだけに, 子宮頸部あるいは内膜細胞診での卵管癌流入細胞発見に有用性が求められよう.
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