臨床の部 ● 演題 7透析患者における経口ニコランジルの心臓死抑制効果

心臓死は透析治療を必要とする慢性腎不全患者の主要な死因であり，冠動脈疾患は透析患者の心臓死の病因として重要である1）。一方，慢性腎臓病を有していない患者に比べて，透析患者では CABG や PCI などの冠血行再建後の生命予後は明らかに不良である2）。冠動脈疾患を有していない透析患者においても心臓死の頻度は高く3），冠動脈疾患の有無にかかわらず，心臓死への対策は透析患者の予後改善のため重要な課題となっている。われわれは，維持血液患者を対象とした検討において，無症候性透析患者，PCI により冠血行再建をした透析患者，ならびに冠動脈造影上有意病変を有さない透析患者の心臓死をニコランジル内服が抑制する可能性を示してきた4～6）。しかしながら，透析患者の心臓死に対するニコランジルの抑制効果が，心臓死リスクの程度に依存するものであるか否かは不明であった。今回，透析患者におけるニコランジルの心臓死抑制効果について，心臓死リスク別に分類して検討した。