房室結節リエントリー頻拍との鑑別を要したJunctional Ectopic Tachycardia(JET)の大動脈離断症術後乳児例

2015 
Junctional ectopic tachycardia(JET)は先天性心疾患周術期に出現することの多い頻拍性不整脈であり,異常自動能亢進が原因と考えられている。アミオダロンやニフェカラントが有効であるが,頻拍のコントロールが困難な場合も多く,治療に難渋することがある。また房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)との鑑別が困難であることもある。症例は3 ヵ月乳児。大動脈離断症,大動脈弁狭窄,心室中隔欠損症に対し心内修復術を施行した。術後よりHR 180 bpmの頻拍発作があり,ニフェカラント・塩酸ランジオロールを使用したが,コントロールできず一時ペーシング+アミオダロンによりレートコントロールを行っていた。経過中ペーシング閾値の上昇によりペーシング不全となり血行動態が悪化した。発作性上室頻拍(PSVT)も否定できず,カテーテルアブレーション目的に心臓電気生理学的検査を施行した。右室連続刺激では室房伝導を認めず,右房期外刺激でjump up現象を認め房室結節二重伝導路が示唆された。イソプロテレノール(ISP)投与下で,右房期外刺激を行うと頻拍が誘発された。誘発された頻拍はAVNRTとJETとの鑑別を要したが,房室解離がありJETが疑われた。そのため房室ブロックのリスクが高いと判断しアブレーションは行わずセッションを終了した。その後,洞調律時のslow pathway を介した伝導時や頻拍時には血圧低下を伴った。atrial kickが血行動態に大きく影響を与えると考えられ,後日DDDペースメーカー植込みを施行した。術後は至適AV delayの設定と,βブロッカー増量により頻拍のコントロールが可能となった。
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []