[Effects of YM-13650 on experimental nephritis in rats and mice].
1991
ラットの免疫複合体型腎炎モデルおよびNZB/W F1マウスのループス腎炎自然発症モデルに対する2-(m-carboxyacetoxyphenyl)imidazo〔2,1-b〕benzothiazole(YM-13650)の効果を検討した.ラットの免疫複合体型腎炎においてYM-13650は予防的に投与した場合10~100mg/kg,p.o.の用量で尿中蛋白量,血清中の総コレステロールおよび尿素窒素の増加を用量依存的に抑制した.病理組織学的所見では,腎炎対照群で糸球体の腫大や,メサンギウム細胞:および基質の著明な増加が認められたが,YM-13650投与群ではその程度は軽度であった.また,既に腎炎を発症したラットに対し治療的に5週間経口投与した場合,腎炎対照群では高度の蛋白尿が持続し,血清中の総コレステロールおよび尿素窒素も高値を維持したが,YM-13650の10~100mg/kg,p.o.投与群では尿中蛋白量は徐々に低下し,血清中の総コレステロール値および尿素窒素値も腎炎対照群に比べ低値を示した.特に,尿素窒素値は5週間の薬物投与によりほぼ正常値にまで回復した.ループス腎炎自然発症モデルにおいて,YM-13650を8週齢から経口投与した場合,3~30mg/kg,p.o.の用量で尿中蛋白量は薬物投与の全期間を通じて腎炎対照群と比ぺ低値を示し,平均生存期間も腎炎対照群33.1±0.9週に対しYM-13650投与群では36.1~41.7週と有意に延長あるいは延長する傾向を示した.また,ループス腎炎の発症後(20週齢)からYM-13650を経口投与した場合も尿蛋白の増加を抑制し,生存期間を延長する傾向を示した.YM-13650はラットおよびマウスの異なる腎炎モデルにおいて,予防的あるいは治療的投与により腎炎抑制作用を有することが明らかとなり,腎炎治療薬としての可能性が示唆された.
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