集学的治療によりR0 切除をし得た気管浸潤T4 胸部上部食道癌の1 例

2017 
気管に浸潤したT4食道癌に対し化学放射線療法(CRT)と化学療法による集学的治療により,R0切除し得た症例を経験したので報告する。症例は75 歳,男性。嗄声を自覚し,上部消化管内視鏡検査で胸部上部(Ut)に3 型腫瘍を認め,CT検査でNo. 106recRリンパ節(LN)の胸膜・気管浸潤を認めたため,食道扁平上皮癌,Ut,cT4b(No. 106recR-気管)N1M0,cStage ⅢC(UICC 7th)と診断した。5-FU+CDDP(CF)療法を併用したCRT(60 Gy)を施行したがT4解除には至らず,docetaxel+CF(DCF)療法を2 コース追加した。内視鏡上はほぼCR で,No. 106recR LN も著明に縮小してFDG-PET の集積も消失したためT4 解除と判断し,サルベージ手術を行った。Ut の腫瘍からNo. 106recR LN にかけては高度の瘢痕化を呈するも気管や反回神経の剥離は可能で,合併切除せずともR0切除が可能であった。T4局所進行食道癌に対しては,CRTにDCF 療法を加えた集学的治療でT4 解除が得られた後に手術を行うことで,安全かつ臓器機能の温存や予後の改善が期待できると考えられた。
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