A case report of adenosquamous carcinoma with multiple cysts of Meckel's diverticulum.
1991
Meckel憩室にみられる悪性腫瘍, 特に癌腫はまれであり, 欧米23例, 本邦5例が報告されているに過ぎない.Meckel憩室から発生した胎児遺残組織由来と思われる癌腫の症例を報告する.症例は43歳, 男性で, 下腹部不快感, 下腹部腫瘤を訴え入院した.人院時, 左下腹部に手掌大で弾性硬の腫瘤を触知した.検査成績では, carcinoembryoni cantigen 4.3ng/ml, α-fetoprotein36ng/mlと高値を呈した.以上の所見と画像診断より腹部悪性腫瘍の診断で手術を施行した.開腹すると回盲部より約130cmの部位にMeckel憩室があり.その先端に手掌大の腫瘍を認め, 腫瘍は結腸間膜を押し分けるように後方に発育していた.手術は腫瘍を含めてMeckel憩室を切除し, 結腸の一部を合併切除した.組織では, 腫瘍はMeckel憩室の筋層と連続した多嚢胞形成性のadenosquamous carcinomaでhuman vitelline structureを模倣する構造も認め, Meckel憩室から発生した胎児遺残組織由来の癌腫と考えられた.術後7か月の現在, 経過は良好である.
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