肝細胞癌における異常プロトロンビン(PIVKA-II)とその変動

1987 
肝細胞癌および各種疾患における血中異常プロトロンビン(des-γ-carboxyprothrom-bin, PIVKA-II)を抗PIVKA-IIモノクローナル抗体を用いたELISAにより測定した.肝細胞癌83例中43例(52%)の血中にPIVKA-IIが検出され,かつ高値例が多かった.一方,慢性肝炎,肝硬変では,PIVKA-IIの検出率はそれぞれ4%にすぎず,その量も低値であった.転移性肝癌では18%,その他の肝胆道疾患では4%のみ陽性で,肝転移を認めない他臓器癌および正常人では検出されなかった.PIVKA-IIが検出された50例中43例(86%)が肝細胞癌であり,肝細胞癌に対する特異性が高かった.PIVKA-IIとAFPの相関は認められなかった.更にPIVKA-IIは肝細胞癌の発生,臨床経過および治療と並行して変動し,PIVKA-IIが肝細胞癌の診断およびその臨床経過の観察に有用な指標となりうることが示された.しかしビタミンK投与により,PIVKA-IIが低下する例も認められ,評価に際して考慮する必要があった.
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