下痢原性溶血性尿毒症症候群 (D+HUS) の腎外症状の検討
1997
下痢原性溶血性尿毒症症候群の腎外症状につ いて分析・検討した。 (1) 肝臓 (28例): 腎不全の程度が強い程肝障害の程度も強かった。(2) 消化管 (1例): 大腸粘膜は肉眼的には浮腫状に肥厚・発赤し,組織学的には粘膜表層への小円形細胞の浸潤がみられた。発病初期には炎症性腸疾患との鑑別が重要である。(3) 中枢神経系 (7例): 重篤な症状として,全身けいれん,片麻痺,視野狭窄,失読・失書など多彩な症状がみられた。5例で発症1週間以内にけいれんが出現した。原因として,低Na血症・高窒素血症,vero毒素,医原性が考えられた。(4) 循環器 (1例): 左室機能低下がみられた。(5) 呼吸器 (2例): 透析の除水不良・成分輸血時の水分管理不良により肺水腫が発生した。 D+HUSは病初期から厳重な水分管理 (特に血液製剤の投与は最小限にする) を行い,脳浮腫・肺水腫の発症を予防すべきである。
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