細胞質雄性不稔‐稔性回復系の遺伝子を用いた京都府在来ダイコン'佐波賀'の起源の解明

2009 
京都府舞鶴地方の在来ダイコンである‘佐波賀’の起源を推定することを目的として,‘佐波賀’および舞鶴市に自生するハマダイコンについて,オグラ型細胞質雄性不稔性の原因遺伝子であるorf138と,これに対する稔性回復遺伝子のorf687のタイプを,PCR-RFLPによって解析した.‘佐波賀’のorf138は,他の栽培ダイコンには見出されていないEタイプで固定しており,また調査したすべての個体が,稔性回復遺伝子として,すでに単離された‘園紅’型のorf687を有していた.舞鶴市で収集したハマダイコンの9集団97個体について,orf138とorf687を解析したところ,orf138を持つ個体が25個体認められ,そのうちの3個体がEタイプであった.その一方で,‘園紅’型のorf687を持つ個体が,正常型細胞質のものに6個体,オグラ型細胞質のものに8個体観察され,後者のうち2個体はEタイプのorf138を有していた.これらのことから,舞鶴地方に自生するハマダイコンの中で,Eタイプのorf138と‘園紅’型のorf687を合わせ持つ個体が栽培化されて,‘佐波賀’が成立したと結論づけられた.
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