Enzymic activities and capacities for ammonia detoxication of liver in goats.

1970 
反芻動物においては,蛋白質の消化の結果生ずるアンモニアの一部は,第1胃粘膜から吸収される.このアンモニアは第1胃粘膜であまり代謝をうけることなく,肝に運ばれるものと考えられる.したがって,肝におけるアンモニアの解毒は,反芻動物においてはきわめて重要な問題と考えられる.本報では,門脉からNH4Clを山羊に負荷した場合の肝からのアンモニアのクレアランスについて調べ,得られた結果から,山羊肝のもつアンモニアの解毒能を推定した.またアンモニアの解毒にあずかる諸酵素の活性を調べ,その役割を解毒能との関連において考察した.体重15~30kgの成山羊に,麻酔下で,異なる量のNH4Clを門脉から負荷し,そのあと経時的に肝静脉から採血し,負荷に伴う肝静脉のアンモニアの濃度の増加を観察した.その結果,負荷量と肝静脉のアンモニアの増加量とのあいだには密接な関係があり,一定量以下の負荷では,肝からのアンモニアのクレアランスの増加はみられないことがわかった.これらの実験から,山羊肝のもつアンモニアの解毒能は,おおよそ40μmoles/min/kg•体重であろうと考えられた.肝について,尿素生成の場合に制限因子のひとつになると考えられるArginine synthetase,ならびにグルタミンとグルタミン酸の生成反応と触媒するGlutamine synthetaseGlutamic dehydrogenaseのおのおのの活性を調べた.その結果,Arginine synthetaseの活性から,山羊肝のもつ尿素生成能は,体重1kg当りで32.3μmoles/minと推定された.またGlutamine synthetaseの活性は,Arginine synthetaseの活性と比較すると低く,グルタミンの生成能は,体重1kg当りで9.5μmoles/minであろうと考えられた.また山羊肝は,Glutamic dehydrogenaseの高い活性を示した.アンモニア解毒におけるこの酵素の役割については明確に評価しえないが,ArginineおよびGlutamine synthetaseの活性から考えると,山羊肝はアンモニアをグルタミンよりも尿素により多く代謝する能力をもつものと考えられた.
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