市販漢方製剤(金鵄丸)により重篤な薬物アレルギー性肝障害を呈した1症例

1986 
市販の便秘治療薬(金鵄丸)服用後に重篤な肝障害を呈した症例を経験した.この症例は約1カ月間同薬を服用した後,黄疸が出現して1カ月後に-たん肝機能は正常化した.しかし, 3カ月経過してから再び「金鵄丸」を3週間服用したところ著明な肝機能障害が現われ,肝生検によつて肝組織に広範な帯状壊死を認めた.患者の末梢血単核細胞を分離して「金鵄丸」添加で培養した結果,リンパ球幼若化反応が陽性であつたので,同薬による薬物アレルギー性肝炎と診断した.漢方薬による薬物性肝障害は極めて希であるが,本症例のように臨床的に重篤な経過を示す場合があるので,漢方薬といえども服用に際しては十分な注意が必要であると考える.
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