中年女性に発生した膵のsolid and cystic tumorの1例

1991 
膵のsolid and cystic tumorは, 通常若年女性に発生した女性ホルモンとの関連が推察されているまれな腫瘍である.当科において49歳女性症例を経験し, 免疫組織学的にestrogen reseptor (ER), progesterone receptor (PgR) の有無について検討した.患老は, 平成元年4月に偶然右上腹部の無痛性腫瘤に気付いた.某医より膵頭部の嚢胞性腫瘍が疑われ当科に紹介, 膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は膵鉤部を占居, 7×5×5cm大で線維性被膜に囲まれ, 中央部は出血, 壊死を呈し壁在性に充実性腫瘍組織を認めた.組織学的には, 主として好酸性胞体を有す小型類円形の腫瘍細胞が不全腺管をなし索状構造をとりながら増生, 一部に被膜浸潤像を認め悪性と考えた.免疫組織学的にはα1-antitrypsin陽性であったが, 膵島ホルモン陰性であった.また, ER, PgRは陰性であり本症例の女性ホルモンの関与については不明であった.
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