Symposium on borderline lesions. 1. Aspiration cytology of the breast.

1993 
組織学的診断の確定した乳癌104例と良性疾患127例について穿刺吸引細胞診の診断成績を報告し, その意義と問題点について述べた.癌の正診率は86.5%, 誤陰性率は2.9%であった.陰性および疑陽性と判定された症例を検討すると, 細胞学的に結合性が強く小型で異型性の乏しい癌 (乳頭構造や篩状構造を示す分化型の癌) を悪性と判定しえなかったことと, 細胞採取量が少なく (硬癌) 確診にいたらなかったことが正診しえなかったおもな原因であった.一方良性疾患の正診率は85%であり, 誤陽性率は1.6%であった.陽性や疑陽性と判定された疾患は, 乳管内乳頭腫, 乳頭部腺腫, 上皮成分の増生した線維腺腫など上皮の旺盛な増生を示す病変であり, 細胞採取量が多く, 散在傾向を示し, これに核型やクロマチン異常をともなった例が多かった.さらに診断成績を向上させるためには, 1) 十分な情報量を得るための細胞採取の工夫と, 2) 個々の細胞所見に加え, 細胞集塊の配列, 形や構造についての観察や出現パターンに注目した新たな判定規準の設定が必要であるとともに, 3) 今後客観的に良悪を判定できる方法の開発が望まれる.最近注目されている癌遺伝子産物c-erbB-2蛋白, およびp53蛋白についてわれわれの知見を報告した.
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