集学的治療と五次化学療法でのS-1単剤が奏効している高齢者非小細胞肺癌術後再発の1 例

2013 
症例は80 歳,男性。血清CEA高値を契機に非小細胞肺癌(腺癌),c-T2aN0M0,stageⅠB と診断し左下葉切除,リンパ節郭清を行った。術後病理診断で#10 リンパ節転移が認められ,病理病期はp-T2aN1M0 stage ⅡA であった。またEGFR 遺伝子変異は陰性であった。プラチナベース2 剤併用の術後補助化学療法を勧めたが同意を得られず,UFT で術後補助化学療法を行った。その後,肺門・縦隔リンパ節転移,脳転移,肺転移が出現した。化学療法はUFT の後,carboplatin(CBDCA)+paclitaxel(PTX),erlotinib,docetaxel(DOC)が行われ,いずれも効果はprogressive disease(PD)であった。胸部リンパ節照射と定位脳照射の後,五次化学療法としてS-1 単剤が導入され,リンパ節の縮小,肺転移の消失,CEAの低下が認められた。経過中に単発で出現した右鎖骨上リンパ節転移巣切除の後もS-1 単剤療法は継続されているが,術後5 年以上経過した現在,CEA は基準値未満となり新たな転移巣の出現は認められず,performance status(PS) 0 を保ったまま外来通院中である。経口剤であるS-1は既治療非小細胞肺癌治療において,quality of life(QOL)を保ちながら治療効果も十分期待できる薬剤である。
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