Ischemic heart disease in dialysis patients.

1992 
透析患者の虚血性心疾患について検討した. 対象は1987年7月から1991年11月までに当院にて虚血性心疾患を疑い冠動脈造影 (CAG) を施行した透析患者25例 (血液透析23例, CAPD 2例), 男20例, 女5例で, 初回CAG施行時の年齢は40から74歳 (平均56.1歳), 透析期間は0から10年 (平均4.5年) であった. 基礎疾患は, 慢性腎炎7例, 嚢胞腎2例, 糖尿病10例, 腎硬化症1例, 不明5例であった. 25例中17例 (68%) に冠動脈の有意狭窄を認めた. 8例32%は狭心症症状を有しながら冠動脈狭窄を認めなかった. 非糖尿病症例に関しては, 透析期間の長い症例ほど冠動脈石灰化の程度が強くなる傾向があった. 有意狭窄の存在領域に特に遍在性はなかった. 経皮的冠動脈形成術 (PTCA) は90%以上の冠動脈狭窄を有する17例中15例に施行した. なお, このうち4例は, 同時に存在した75%狭窄部に対してもPTCAを施行した. Patient successは85.7% (18/21), lesion successは91.2% (31/34) であった. 成功例全例で, 胸痛の改善を認めた. 失敗の原因は, すべて, ガイドワイヤーの不通過によるものであった.合併症は, dissectionの発生が計21回のPTCA中2回あった. これ以外にはPTCAの合併症の発生はなかった. 4例における再狭窄までの期間は, 平均5.4か月であった. 1例では, 再狭窄だけでなく, 新たな狭窄も頻回に起こした. 今回の検討より, 透析患者の虚血性心疾患の治療法としてPTCAは有効でかつ, 侵襲性も少なく, 非透析患者におけると同程度に比較的安全に施行し得る手段であることが証明された. しかしながら, PTCA施行後, 無症状でも比較的短期間に再狭窄や新狭窄をきたす症例もあるのでCAGによるフォローアップは不可欠と思われた.
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