S-1+Gemcitabine(GEM)療法が奏効した切除不能膵頭部癌の1 例

2008 
目的:膵癌の治療成績は極めて不良であり,特に切除不能例に関して長期生存を得ることは非常に困難である。今回,切除不能膵頭部癌に対しS-1+gemcitabine(GEM)療法が奏効した1 例を経験したので報告する。症例: 70 歳,男性。心窩部痛を主訴に初診。黄疸も認め精査にて膵頭部癌,門脈・総肝動脈浸潤,十二指腸浸潤の診断。Phb,TS2 浸潤型(infiltrative type)T4,CH(+),DU(+),S(+),RP(−),PV(+),Ach(+),PLX,OO(−),N0,M0,Stage IVa の術前診断にて胃空腸吻合術,胆摘術を施行。術中所見としては,肝転移(−),腹膜転移(−)であった。術後S-1+GEM(S-1 100mg/day,day 1〜14,GEM 1,000 mg/m2 day 8,15,2 週投与1 週休薬)を開始。2 コース目までは腫瘍の著変はなかったが,6 コース終了後には明らかに腫瘍の縮小を認め,10 コース終了後にはさらに縮小を認めた。14 コース終了後では画像上腫瘍を同定し得なくなった。初診から1 年5 か月経過した現在も,腫瘍の再燃なく化学療法を継続中である。本症例においてS-1+GEM 療法は重篤な副作用もみられず,切除不能膵癌における安全性とQOL を損なわない治療法であり生存期間延長の可能性が期待された。結論: S-1+GEM 療法は,切除不能膵癌に対しても長期予後を期待できる可能性が示唆された。
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