【専門医に求められる最新の知識 脳腫瘍】 がんゲノムアトラスと脳腫瘍

2011 
がんは,細胞の設計図であるゲノム情報の誤りにより正常な増殖制御が破綻して生じるが,急速に発展した解析技術を用いて,その異常をくまなく明らかにし,がんをより深く理解するとともに治療に結びつけるのが,がんゲノムアトラス計画の目標である.これはさまざまながんを対象として,米国発のThe Cancer Genome Atlas をはじめ,国際がんゲノムコンソーシアムも結成されるなど世界的な広がりをみせており,種々の大規模解析が行われている.これにより,ゲノムのDNA 配列のみならず,エピジェネティックな変化やマイクロRNA に及ぶまで,新たな異常が次々と明らかになってきている.脳腫瘍に対しても精力的な解析が行われ,膠芽腫では腫瘍化を引き起こす重要な経路の異常が体系的に解明されるなど,理解がさらに進んだ.また,このような機運のなか発見されたIDH遺伝子の高頻度の異常は非常に画期的なものであった.現在こうした解析は,小児脳腫瘍などへとさらなる展開を見せている.
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