Crystallization Behavior and Ferroelectric Properties of VDF/TrFE Copolymer Thin Film with Low Curie Temperature

2014 
【はじめに】代表的な高分子強誘電体であるフッ化ビニリデン(VDF)/三フッ化エチレン(TrFE)共重合 体は常誘電相中で熱処理を行うことで、結晶中で分子鎖が鎖軸方向に滑り拡散し、結晶化度の高い強 誘電性型結晶が容易に得られることが知られている。一方で、ラメラ結晶の成長に伴って表面ラフネスも 増大することから、特に薄膜試料においては両者の最適な制御が要求される。しかしながら、Fig.1 の DSC 測定の結果に示されるように、一般的に用いられている高 VDF 分率の VDF/TrFE(75/25mol%) 共重合体においては、キュリー点 Tc と融点 Tmのマージンが狭く、膜厚や基板種などが異なる薄膜試料 において最適な試料作製条件を見出すことに一定の困難が伴う。そこで今回は、Tc と Tm の温度差が広 い低VDF分率のVDF/TrFE共重合体に注目し、その結晶化挙動の詳細と強誘電諸特性について検討 を行ったので、その結果について報告する。 【実験・結果】クレハ社製 VDF/TrFE(60/40mol%)共重合体の炭酸ジエチル溶液を作製し、スピンコ ート法により Pt/SiO2/Si 基板上に薄膜を成膜した。上部 Au 電極を通電加熱蒸着により形成した後、60 ~160oCにて 1時間結晶化熱処理を行った。Fig.2に、各熱処理温度試料における D-E ヒステリシス測 定の結果を示す。60oC といった極めて低い熱処理温度においては、抗電界近傍で 2 段階で反転が 進行するような挙動となったが、残留分極量 Pr=20 mC/m2程度のヒステリシス曲線を描いた。熱 処理温度の増加に伴って残留分極量、最大反転分極量は増大し、140oC にて最大(Pr=65 mC/m2) となった後に 160oC で急激に減少した。VDF(75)/TrFE(25)共重合体においては、Tc以上の熱処理 で Prは大きく変化しないものの、本試料においては熱処理温度に Prが強く依存することが明らかに なった。また、160oC 以上での急激な特性変 化については融解再結 晶化による構造変化が 原 因 で あ る こ と が XRD の結果から示唆 された。当日は、熱処 理温度時間や膜厚が結 晶性、表面平滑性、分 極反転特性に及ぼす効 果についても発表する。 Fig.1 DSC curves of powder of VDF/TrFE copolymers. Fig.2 Annealing Temperature dependence of D-E hysteresis curves of VDF(60)/TrFE(40) copolymer. -1.2 -1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []