亜鉛華デンプンによる治療が有効であった巨大尖圭コンジローマ(Giant Condyloma Acuminatum)の2例

2010 
尖圭コンジローマは粘膜型のパピローマウイルス感染による疾患である。その中でも巨大尖圭コンジローマは比較的稀ではあるが,治療に苦慮することが多い。今回我々は,陰部を乾燥させ同部位の湿潤環境を変化させることによりこれらのウイルスの増殖を抑え,ひいては腫瘍の縮小を図ることが可能ではないかと考え,亜鉛華デンプンに含まれる酸化亜鉛の,1)収斂作用,2)保護作用,3)抗菌作用およびデンプンの乾燥作用に着目した。そして従来の治療法で難治性の巨大尖圭コンジローマ2症例に対し,亜鉛華デンプンを使用し良好な経過をみた。症例1は20歳の女性。全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に対し,ステロイド内服治療中。肛門周囲に巨大なカリフラワー状の腫瘤を形成した。約8ヵ月間の亜鉛華デンプンの散布,ヨクイニン内服治療で腫瘍は略脱落した。症例2は38歳の男性。糖尿病の基礎疾患あり。鼠径部・陰茎・亀頭・肛門部に大小様々なカリフラワー状の腫瘤を形成した。一部を外科的に切除後,約7ヵ月間の亜鉛華デンプンの散布,ヨクイニン内服治療で腫瘍は略脱落した。亜鉛華デンプンによる治療は,1)侵襲が少なく,痛みなどの副作用が少ない点,2)手技が容易で患者自身での処置が可能な点,3)従来の治療法に併用できる点,4)安価で入手しやすい点などより有効な治療法であると考えた。
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