海外の診断基準─ EASL- Clif Consortium とAPASL ACLF ResearchConsortium

2020 
慢性肝疾患は持続性の壊死・炎症に伴う肝線維化と再生結節形成から肝硬変に進行し,徐々に非代償化,さらに肝不全に至る.一方で,感染などの増悪因子により急速に肝不全に陥る急性増悪が知られていた.近年,そのなかでもとくに予後不良の病態をacute-on-chronic liver failure(ACLF)と定義して,予後予測やその治療法確立の試みがなされている.アジア太平洋肝臓病学会(APASL)からは,慢性肝疾患患者における凝固異常とビリルビン高値に加えて腹水や肝性脳症の発症による診断基準が提唱されている.一方で,欧州肝臓学会(EASL)からは肝硬変患者に合併する臓器不全の重症度評価に基づく診断基準が提唱されている.慢性肝疾患の成因や増悪因子がさまざまであることから,その多様性に則した診断基準が提案されている.それぞれの診断基準をもとにした前向き研究による治療方針の確立が待たれる.
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