S-1+CDDP 併用療法にてCR を得た食道癌多発肺転移の1 例

2007 
目的:食道癌に対する放射化学療法の有用性に関する報告は多く,特に5-FU+CDDP 併用療法は治癒をめざせる治療法であることが示唆される。しかしながら術後の補助療法中に遠隔転移を来した場合には治療に難渋する。今回,食道癌術後の5-FU+CDDP の併用療法中に発症した多発肺転移に対し,5-FU のprodrug であるS-1 に変更後CR を得た症例を経験したので報告する。症例: 71 歳,男性。健康診断の内視鏡にて門歯から27〜30 cm に1 型腫瘍を指摘。精査にて食道癌: Ut 1 型,T2-T3,N2,M0,IM0 の術前診断にて右開胸開腹食道亜全摘術,胸骨後再建施行。病理診断は,中分化型扁平上皮癌pT1b(sm),pN1(106-rec R),pStage II であった。術後5-FU+CDDP(day 1〜5,5-FU 500 mg,CDDP 10 mg/body)を開始。 3 クール終了後に多発肺転移が出現したため,S-1+CDDP(S-1 day 1〜14,CDDP 5 mg/body day 1〜5,8〜12)を2 クール施行。化学療法後のCT にて肺転移は消失しCR と判断した。その後S-1 単剤で内服を継続中であったが,骨転移を来し放射線治療を施行した。現在対症療法中であるが,肺転移に関しては再発を認めていない。考察: 食道癌に対するS-1+CDDP併用療法は,NAC や手術不能例に対する報告例が多いが,再発,遠隔転移症例でも本療法が有用であることが示唆された。
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