下垂体前葉ホルモン分泌調節における dopamine 作働性機構の加齢に伴う変動

1986 
中枢性 dopamine (DA) neuron の視床下部-下垂体前葉ホルモン分泌調節への関与が注目されているが, その加齢に伴う推移変動を検索するために, 健常若年男子14例及び老年男子23例にDAを持続注入し, 血中LH, FSH, GH, PRLのDAに対する反応性を若年老年両群間で比較検討した. さらに老年群をその血中 testosterone (T) 値から403ng/dl以上をT高値老年群, 403ng/dl以下をT低値老年群に大別し, このT低値老年群に T propionate (TP) 10mg/日, 3日間連続筋注し, 再度DA負荷試験を実施し, TP投与前後で血中LHのDAに対する反応性を比較検討した.1) 若年群ではDA負荷後血中PRLの著明低下, 血中GHの有意上昇を認めたが, 血中LHは有意の変動を示さなかった. 一方, 老年群では血中PRLは若年群と同程度の低下反応を示したが, 血中GHは若年群よりもより強い上昇反応を示した. また血中LHはDA負荷後有意の低下反応を示した. 特にT低値老年群の血中LH及びGHのDAに対する反応性は若年群と比較して有意の高値を示した (p<0.01, p<0.05).2) T低値老年群においてTP 10mg/日3日間筋注負荷により, 血中LHのDAに対する反応性は有意の低下 (p<0.05) を示した.これらの成績は, 中枢性DA作働機構の視床下部-下垂体前葉ホルモンの分泌調節機能が加齢に伴い低下する可能性を示唆する. またTがDAによる視床下部-下垂体系の調節に関与する可能性が示唆される.
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