慢性血液透析患者の血清アポリポタンパクA-I, A-II, C-IIおよびE値

1985 
慢性血液透析患者では, 脂質代謝異常の認められることが報告され, 健常者に対して心血管系合併症の発生頻度の高いことがしられている. 今回, これら慢性血液透析患者の主として血清アポリポタンパクA-I, A-II, C-II, E値の変動につき検討を加え, 本症における脂質代謝異常をアポリポタンパク亜分画の面から解析を試みた.対象は平均年齢41.3歳の健常者59名と週3回血液透析治療を受けている平均年齢47.7歳の慢性血液透析患者65名である. 健常者の採血は早朝空腹時に, 慢性血液透析患者は前回透析から48時間以上経過した次回透析前の空腹時に行った. 総コレステロール (TC), トリグリセリド (TG) は酵素法, HDL-コレステロール (HDL-C) はデキストラン硫酸-Mg法, アポA-I, A-II, C-IIおよびEは一元放射状免疫拡散法で測定した.健常者に対して慢性血液透析患者では, 血清TC, HDL-C, アポA-I, A-IIは低値を示した. しかしながら, 血清アポC-II, E値は健常者と慢性血液透析患者で有意差は認められなかった. 慢性血液透析患者のHDL-C/A-I比およびHDL-C/A-II比は, 健常者に比べて, いずれも有意に低下した. また血清HDL-C値は, 慢性血液透析患者においてのみ, 血清アポA-I, A-II値と有意の正相関を示した. 以上より慢性血液透析患者ではそのHDLに質的異常のあることが示唆された.
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