Ectopic calcification of the abdominal aorta and bone mineral content of vertebrae

1989 
目的: 高齢者において腹部大動脈石灰化が骨脱灰化とどの程度の関連があるかを検索するため, 我々は全身コンピューター断層撮影 (以下, CTと略す) を用い定量的方法で計測して, 両者の関連を比較検討してみた.対象及び方法: 入院及び外来患者の高齢者(137例, 男性46例, 女性91例, 60歳から96歳, 平均77.6±7.7歳〔Mean±SD〕) で, 腹部CT及び腰椎CTを2週間以内に施行した. 一定のCT閾値 (115HU) 以上の腹部大動脈石灰化像について, 外周をトレースして個々の面積 (単位は voxel: cm3) を, 腹部大動脈の腸骨動脈分岐部直上より上方に, 1cm毎10スライス相当加算した. それらの合計値について, 腹部大動脈外径の最大径・最小径による楕円面積 (単位は voxel: cm3) を10スライス相当加算した血管容積で除して補正し, 血管容積に対する石灰化率 (以下, CAIと略す: 単位は%) を算出した. 骨量については, 腰椎CT検査時において腰背部に骨量ファントム (京都科学標本, B-MAS) を同時撮影して, 腰椎 (L2, L3, L4) の海綿骨部に設定した関心領域の平均CT値を, ファントムからの一次回帰式より椎体内の推定CaCO3 (以下, BMCと略す: 単位はmg/cm3) を計算した. 原則として, 第3腰椎の骨量をBMCとした.結果: CAIは, 男性では70・60・80歳台の順に漸増し, 女性では加齢とともに増加した. CAIの男女間の差は, 60歳台では女性に比べ男性の方が有意に高値で (男性0.963±0.917vs女性0.134±0.208; p<0.05), 逆に70・80歳台では男性に比べ女性の方がより高値を示したが有意ではなかった. BMCは, 男女とも加齢とともに低下し, 男性に比べ女性の方が低値で, とくに70歳台で有意に低値であった (男性85.6±36.1vs女性44.1±34.9; p<0.001). CAIとBMCとの関連をみると, 70・80年台の女性において有意な負の相関をみた (70歳台: 男性r=0.136, NS, 女性r=0.400, p<0.01; 80歳台: 男性r=0.079, NS, 女性r=0.334, p<0.05).結語: 腹部大動脈石灰化は, 男性に比べ閉経後の高齢女性において, 腰椎の骨粗鬆症との関連がより強く示唆された.
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