劇症肝炎の1救命例-2・3の注目すべき現象についての考察

1979 
30歳の男性がB型劇症肝炎に罹患し,経過中に痙攣,一過性片麻痺,消化管出血,狭心症様胸痛,尿崩症様多尿と種々の合併症を呈したが,交換輸血とCharcoal hemoperfusionを治療の主軸として救命しえた.交換輸血,ステロイドホルモン投与時に血圧が上昇し,これに一致して痙攣,一過性片麻痺が出現し,脳浮腫に起因するものと思われた.大量の下血に伴い,狭心症様胸痛が起ったが輸血により寛解した.その後,1日8lに及ぶ多尿が出現したが,尿量は輸注蛋白量に一致して変動し,尿比重は比較的高く,血清Na濃度は正常で尿崩症ではなく,輸注蛋白によるものと考えられた.昏睡からの覚醒過程は静穏で,経時的に脳波を記録して検討した.発症約3ヵ月後に施行した腹腔鏡,肝生検は軽微な変化を示すのみで,ほぼ正常と思われた.発症初期のHBs抗原,抗体,末梢リンパ球,血清免疫グロブリンの動きについて免疫学的な面から少しく考察を加えた.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    9
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []