Production of Inflammatory markers by HepG 2 cells stimulated with monocyte conditioned media
1997
炎症性サイトカインによって肝で産生される急性相反応蛋白CRPとSAAは,病態において類似の変動パターンを呈するが,両蛋白の変動に解離現象も認められる.その機序については,なお十分に明らかにされていない. 今回, HepG 2細胞を用い,両蛋白の産生に及ぼすサイトカインおよび薬剤の影響について検討した. HepG 2細胞ではCRP産生にはIL-6, SAA産生にはIL-1βが大きく影響することが示された. HepG 2細胞にIL-1βとIL-6を加え,さらにプレドニゾロン(PSL)や各種免疫抑制剤を加えて培養し, CRPおよびSAA産生量の変動を経時的に比較した. PSLの添加ではCRP産生は低下傾向, SAAは増加を示した.各種免疫抑制剤を加えた場合にはCRP産生は殆ど変動しなかったが, SAAは最高血漿中濃度(C max)の薬剤添加で著減した. 単球のlipopolysaccharido (LPS)刺激によるサイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-6およびTNFα)の産生について調べると, PSLにより抑制され,特にIL-6の減少が目立った.免疫抑制剤では増加し,特にIL-1βの産生が最も増加した. LPSで刺激した単球培養液をHepG 2細胞に加え, CRPおよびSAA産生量の変動をみると, PSLおよび免疫抑制剤によりCRP産生はやや低下傾向を示したが, SAAはPSL添加により増加を示した. 以上より,単球・肝細胞培養系においてコルチコステロイド,免疫抑制剤などの薬剤の添加によりサイトカイン,ならびにCRPおよびSAA産生に相違のあることが明らかにされた。すなわち, PSLにより単球のIL-6産生が抑制され,その結果肝細胞によるCRP産生は低下傾向を示したが, SAA産生はPSLの肝細胞への直接作用により逆に増加したものと考えられた.免疫抑制剤では単球のIL-1βの産生が促進され,肝細胞のSAA産生は増加傾向を示したが, CRP産生は殆ど影響を受けなかった.
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