固定化ロジウムカルボニルクラスター触媒による α,β-不飽和カルボニル化合物およびニトリルの選択的水素化反応
1985
飽和カルボニル化合物およびニトリルの一酸化炭素および水による水素化反応を検討した。溶媒としてテトラヒドロフランを用いた場合には,反応条件下でロジウムカルボニル錯体が溶液中に一部溶出したが,ジオキサン-ヘキサン(3:7)混合溶媒を用いるとロジウムカルボニル錯体の溶出はまったく認められず,反応が不均一系で進行していることを認めた。水素化反応は,α,β-不飽和化合物の α,β-位の炭素一炭素二重結合のみが選択的に水素化された。しかしホルミル基は本触媒により水素化されてアルコールを生成した。触媒は一酸化炭素および窒素気流下では安定で,反応活性および選択性を低下させることなくくり返し反応に使用が可能であった。アクリル酸メチルを基準として,これに立体的な置換基を導入したり,置換基の数を増加させた場合の反応速度の減少度は均一系よりも不均一系の反応の場合にいちじるしい傾向を示した。またできるだけ条件を同じようにして反応を行なった場合,不均一系反応の方が均一系におけるよりも水素化速度が大きいことを認めた。Rh4(CO)12 は反応条件下でロジウムカルボニルクラスター陰イオンを生成し,これがイオン交換樹脂に固定化されて不均一系反応が進行しているものと考えられる。
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