Continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) 皮下トンネル感染症の臨床像に関する検討

1993 
過去5年間の当科におけるCAPD皮下トンネル感染症 (TI) の臨床像について検討した.1987年1月から1990年12月までの4年間に新規導入し, 1991年12月の時点でCAPD継続中の患者42名を対象とした. 全例, アクセスにはスワンネック型ダブルカフ・テンコフ・カテーテルを使用していた.観察期間は延べ1,559か月 (平均37.1か月), 発症回数は53件 (0.41回/年), 罹患期間は延べ323か月 (全期間の21%) であった. 黄色ブドウ球菌が最も多い起炎菌 (43%) であった.このうち, 91年12月の時点で転帰の決定していた45件について検討した.外科的処置を要したものは, 21件 (47%) であって, その起炎菌としては, 黄色ブドウ球菌と緑膿菌が17件 (81%) を占めた. また逆に, 黄色ブドウ球菌TIの67%, 緑膿菌TIのすべてについて外科的処置が必要であった.平均罹患期間は6.4か月であり, 罹患期間が長いほど外科的処置を要する率が高かった.局所の肉眼所見の上で重症型を定義すると, 重症型は45件中24件 (53%) であり, そのうち88%に外科的処置が行われていた. 起炎菌別では黄色ブドウ球菌と緑膿菌で重症率が高く, また罹患期間が長いほど重症率が高かった.CAPD皮下トンネル感染症 (TI) は高頻度に発症し, 遷延しやすい合併症である. 特に, 緑膿菌・黄色ブドウ球菌によるもの, 半年以上遷延するもの, および肉眼的局所所見の強いものでは, 結果として高率に外科的処置を要しており, 従ってむしろ速やかにこれを行うべきであると考えられた.
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