Risk factors influencing the patency of vascular access.

1991 
本研究の目的は増子記念病院における各種シャント手術の遠隔成績を呈示し, ブラッドアクセスとして現在主流を占めているシャントの開存にいかなる因子が影響を与えるかを解析, 検討することである.慢性腎不全のために血液透析を受けている316症例975手術を解析の対象とした. 解析されたシャント手術の内訳は自己血管内シャントが364手術, polytetrafluoroethylene (PTFE) 内シャントが211手術, 自己血管外シャントが260手術, PTFE外シャントが138手術であった.自己血管内シャントの3年開存率は65%, 5年では57%であり, 一方PTFE内シャントの場合は3年では31%, 5年では21%と自己血管内シャントが有意に良好な結果であった (p<0.001). また, 自己血管外シャントおよびPTFE外シャントの場合は両者とも1年で約20%, 2年で約10%であり, 著しく成績は不良であった. 多変量解析により自己血管およびPTFE内シャントの開存に対する性, 手術時年齢, 原疾患, 糖尿病, 高血圧, 高脂血症, ヘマトクリット, 吻合部位の諸因子の影響を解析した. その結果, 自己血管内シャントでは手術時の年齢が (p<0.01), またPTFE内シャントでは高脂血症 (p<0.01) と原疾患 (p<0.05) が有意に開存に影響することが認められた. 次に高脂血症および単独ではシャント開存に有意の関係を示さなかった糖尿病, 吻合部位, 血圧の合計リスク数と術後累積開存率の関係を検討した. その結果, リスク数が2つ以上の場合は1つ以下の場合に比べ, 有意に手術成績が不良であることが認められた.今回の検討によって, 従来たぶんに経験的に危険因子とされていた諸因子が統計学的に解析され, 特にPTFE内シャントにおいてはいくつかの危険因子が存在することが明確になった.
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