ゲフィチニブ投与症例における血清KL-6, SP-A, SP-Dの検討

2005 
目的. 上皮成長因子受容体阻害剤であるゲフィチニブを投与した非小細胞肺癌症例において間質性肺炎の活動性の指標とされるKL-6, Surfactant Proteins AおよびD (SP-A, SP-D) がゲフィチニブによるinterstitial lung disease (ILD) の予測に有用かどうかを検討した. 方法. ゲフィチニブ単剤 (250 mg/日) を投与された非小細胞肺癌患者90症例 (ILDの発症が疑われた5例を含む) を対象とし, ゲフィチニブ投与前と投与開始2週間後の血清中のKL-6, SP-A, SP-Dを測定した. (KL-6 ; 500 U/ml以上, SP-D ; 110 ng/ml以上, SP-A ; 43.8 ng/ml以上を高値とした). 結果. 90例のうち, ゲフィチニブ投与前より血清KL-6, SP-AおよびSP-D値が陽性であった症例はKL-6 ; 38例 (42.2%), SP-A ; 37例 (41.1%), SP-D ; 27例 (30%) であった. ILD発症群5例中3症例 (60%) でイレッサ投与前より血清KL-6, SP-A, SP-D値が高値であったが, ILD非発症群 (85症例) においても血清KL-6, SP-A, SP-D値は35例 (41%), 34例 (40%), 24例 (28%) で高値であり, これらのマーカーの陽性率は両群間で差はなかった. また, ILD発症群でもゲフィチニブ投与前後の血清KL-6, SP-A, SP-D値の有意な増加は認めなかった. 一方, ゲフィチニブに奏効した症例では血清KL-6, SP-A, SP-D値が低下する傾向を認めた. 結論. 非小細胞肺癌症例では血清KL-6, SP-A, SP-D値が治療前より異常値を示すことが多く, また, 治療の効果とともに低下することより血清KL-6, SP-A, SP-D値が腫瘍から産生されている可能性が考えられ, これらのマーカーによるゲフィチニブのILD発症の予測は困難であった.
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