子宮頸部細胞診および子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなったextraovarian peritoneal serous papillary carcinomaの1例

1997 
54歳の患者に発生したextraovarian peritoneal serous papillary carcinoma (以下EPSPC) の1症例を報告した.下腹部痛で来院し, 初診時の子宮頸部細胞診と子宮内膜細胞診で腺癌細胞が認められ, 子宮内膜癌 (疑) の術前診断で開腹術を行った.直腸漿膜に灘慢性癌病巣があり, 子宮, 卵管, 卵巣などに肉眼的に認められる病巣はなかった.直腸漿膜主病巣からの生検病理組織検査では, 中分化型漿液性乳頭状腺癌であった.摘出した卵巣表層, 子宮外膜, 卵管外膜, 大網にも, 組織学的にきわめて微小な播種性病変がみられたが, 原発病巣と考えられる所見はなく, 直腸漿膜に発生したEPSPCと診断した.卵巣癌や卵管癌など子宮外の悪性腫瘍症例で, 子宮頸部細胞診, 子宮内膜細胞診に悪性細胞が出現することがあり, その細胞学的特徴の一つとして, 腫瘍性背景を欠如することがあげられているが, 今回の症例でも, 腫瘍性背景はみられなかった.きれいな背景の中に腺癌細胞集塊が観察され, 生検組織診などで子宮頸部, 子宮体部に病巣が確認できない場合, 卵巣癌, 卵管癌とともにEPSPCの可能性も念頭におく必要があると思われた.
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