β2-microglobulinの血液透析例, 腎移植例および食道癌手術例における動態

1991 
腎不全例, 腎機能正常例のβ2-microglobulin (β2-MG) の動態を検討する目的で, 血液透析患者457例, 腎移植例19例, 食道癌例16例の血中尿中β2-MG値について検討し, β2-MGの尿中排泄率, 1日尿中排泄量, 推定1日糸球体濾過量を算出し, 血液浄化のβ2-MG除去目標や腎移植による透析アミロイドーシスの治療の可能性について考察を加えた. 血液透析患者の血中β2-MG値は, 若年, 女性, 透析歴10年, 尿量減少者で高値であり, 透析器膜別では差がなかった. β2-MGの1日尿中排泄量と尿中排泄率から推定の1日β2-MG糸球体濾過量を算出すると, 腎移植例で162mg, 食道癌例で術前178mg, 術後119-241mgであった. 1日β2-MG産生量が180mgでは, 1回の血液浄化で500mg以上のβ2-MGの除去が必要で, この量の除去は間欠的血夜浄化法では不可能と思われる. 腎移植では, 血中β2-MG濃度は透析患者の1/10だが, cystic radiolucencyからみた結果では, 腎移植による透析アミロイドーシスの治療には, 有効性に問題があると思われた.
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