Differential cytodiagnosis between well differentiated hepatocellular carcinoma and liver cirrhosis.

1985 
高分化肝細胞癌 (HCC) と肝硬変症 (LC) の細胞診による鑑別診断は, ときに困難な場合がある.そこで, これらの鑑別にどのような細胞所見が重要かを知る目的で, 病理組織学的に確認された, HCC7例とLC8例の圧挫塗抹標本について, 各症例100個の細胞を油浸1,000倍の拡大率で観察計測し, 比較検討した.その結果,(1) N/C比の増大と核の濃染は0.1%以下, クロマチンの不均一分布は1%以下の危険率でHCCに有意に多く, これらの所見は両群間で最も大きな差がみられた.(2) HCCでは, 核の長径は大きく, 細胞の長径, 短径, 面積は小さく, 粗顆粒状クロマチンが多く, 胞体内空胞は少なく, これらの所見は5%以下の危険率で有意差が認められた.(3) HCCでは, 核の短径, 面積, それらの標準偏差, 核小体の長径と個数, 高度の核形不整, 胞体内顆粒性の低下, 核内封入体は, 大きいかあるいは多く, また, 明瞭な胆汁色素, 2核細胞の頻度は, 少ない傾向がみられたが, これらの所見には有意差がなかった.(4) 核縁の肥厚は両群間に全く差がなかった.以上の結果より, 高分化肝細胞癌と肝硬変症の細胞診による鑑別診断には, N/C比, 核染色性, クロマチン分布が最も重要である.
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