圧挫(クラッシュ)症候群

2012 
圧挫(クラッシュ)症候群(crush syndrome)は,災害医療の中で最重要な疾患の1つである.その理由として,阪神・淡路大震災において,500 例の防ぎえる災害死(PDD)が発生した可能性があると報告1)されているが,その多くが圧挫症候群であったこと,また,東海地震に対する広域医療搬送計画では,24 時間以内に600 例の搬送が必要と想定しているが,その半数が圧挫症候群であろうと予想されており2),災害医療においては極めて重要な疾患となる.圧挫症候群においては,早期発見・早期治療が重要である.阪神・淡路大震災で多くの圧挫症候群のPDD が生じたのは,圧挫症候群を目の前にして認識できなかったことが主な理由とされている.圧挫症候群は早期に診断することが重要であり,現場救出時からの医療介入が必要な疾患である.また,一見バイタルサインが安定していても,集中治療を要する疾患であることを肝に銘ずる必要がある.
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