梗塞壊死を伴った浸潤性乳管癌 (充実腺管癌) の1例

2003 
背景:梗塞壊死をおこした浸潤性乳管癌 (充実腺管癌) を経験したので報告する.症例:72歳. 左乳房C領域に腫瘤が認められ, 穿刺吸引細胞診が施行された. 採取された細胞量は多く, 核は小型で濃縮状を呈し, 細胞質はライトグリーンに淡染していた. なお, 標本中にはこのような細胞のみが採取されていた. 組織像では, 広範な梗塞壊死巣が観察され, 大小の充実性胞巣を形成した腫瘍細胞が梗塞壊死をおこしたことがうかがわれた. また, 壊死周囲には腫瘍細胞が残存しており, 浸潤性乳管癌と診断された. 梗塞をおこした乳管内乳頭腫の細胞像との比較を行ったが, 両者の細胞像はほぼ同一のものであった.結論:穿刺吸引細胞診標本において, 小型の核濃縮をおこした裸核様の細胞のみが採取された場合, 良性と悪性の鑑別はきわめて困難であると考えられた.
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