Anticholinergic properties of oxitropium bromide (Ba 253) and its metabolites

1989 
気管支拡張薬,oxitropium bromide(Ba253)の抗コリン作用の特性を atropine および ipratropium bromide(Sch 1000)と比較し,ムスカリン受容体サブタイプに対する選択性を検討した.また,Ba253 の代謝物(Ba 941,BEA 1125),分解物(Ba 250)および不純物(Ad 187)の抗コリン作用についても検討した.ラット唾液分泌,胃液分泌およびウサギ胃運動に対して,Ba 253は非経口投与では atropine の2.3~11.8倍,Sch 1000の1~2倍強い抑制作用を示した.しかし,Ba253 の経口あるいは十二指腸内投与時の胃液分泌抑制作用および散瞳作用は atropine の1/47および1/7でしかなかった.摘出臓器(ラット胃条片,モルモット胆嚢および回腸)における Ba 253 の抗コリン作用は,atropine とほぼ同等であった.acetylcholine ならびに histamine 誘発性喘息に対して,Ba 253 のエアロゾル吸入は,atropine の 1/5の鎮咳作用を示し,これは,sch 1000 とほぼ同等であった.Ba 253 のヒトにおける主代謝物である Ba 941 は,摘出モルモット気管平滑筋および回腸においてBa 253 の1/8000 以下の抗コリン作用しか示さなかった.Ba 253 の分解物である Ba 250 および不純物である Ad 187 は Ba 253 と同程度の抗コリン作用を示したが,これらの夾雑,混入は Ba 253 の0.1%および2%以下でしかないことから,Ba 253 の抗コリン作用の発現には関与しないものと思われる.以上のように,Ba 253 の抗コリン作用は,非経口投与では atropine より数倍強く,経口あるいは十二指腸内投与では atropine より弱い.また,Ba 253 の抗コリン作用には M1 受容体に選択的に拮抗する pirenzepine ほど臓器差がみられないことから,Ba 253 のムスカリン受容体サブタイプを識別する能力は低いものと思われる.
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