Analyses of factors preventing returning home in elderly patients on dialysis

2000 
高齢の透析導入例では, 維持透析に移行後も家庭に戻れず, 入院透析を継続している場合が少なくない. 家庭復帰の阻害要因を明らかにするために, 東京都老人医療センターにおける透析導入例を対象として統計学的検討を行った.年齢60歳以上の慢性腎不全透析導入例 (103例) を対象とした. 男性例は58例, 女性例は45例, 年齢は73±7歳 (平均±標準偏差) であった. 個々の症例において, 腎不全の基礎疾患 (非糖尿病/糖尿病), 栄養状態, 脳血管障害の有無, 虚血性心疾患の有無, 歩行の可否, 認知機能の良否, 透析導入の緊急度 (非緊急/緊急), アクセス不全発症の有無, 配偶者同居の有無, 子供世代同居の有無等の背景因子と家庭復帰の可否について調査した.家庭復帰例は80例, 家庭復帰困難例は23例であった. 各背景因子の相違が家庭復帰に及ぼす影響を最初に検討した. 背景因子毎に二通りのカテゴリーを設け, それに基づいて対象を二群に分けた. 両群で家庭復帰困難例の割合を算出し, それらの値をχ2検定により比較した. 統計学的有意差を認めた背景因子は, 歩行の可否 (p<0.0001), 認知機能の良否 (p<0.0001), および基礎疾患 (p:0.049) であった.次いで, 背景因子を説明変数とし, 家庭復帰の可否を目的変数として, 多変量ロジスティック回帰分析を行った. 名義尺度で表された背景因子はダミー変数に置き換えられた. 統計学的に有意のロジスティック回帰係数が得られた項目は, 歩行の可否 (p<0.0001), 認知機能の良否 (p:0.001), および配偶者同居の有無 (p:0.012) であった.維持透析移行後の家庭復帰において, 歩行不可と認知機能不良は大きな妨げとなっていた. また, 配偶者不在も家庭復帰を阻害する要因としてあげられた.
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