多発胃癌症例の諸問題-重複癌, 免疫能の関与と遠隔成績を中心に

1995 
同時性多発胃癌症例の臨床所見に検討を加えた. 過去30年間の原発胃癌切除2,405例中, 多発症例は164例 (6.8%) であった. 多発癌はA群 [進行癌+進行癌 (n=14)], B群 [進+早期癌 (n=69)], C群 [早+早 (n=81)] に3分され, 近年のC群の増加が著明であった. 長軸上の主・副癌巣間距離と方向をみると, 双方が並列するもの50例, 副癌巣が主癌巣の肛側のもの63例 (平均距離3.2cm), 口側のもの51例 (2.2cm) であった. 副癌巣の術前診断率は低率で, 1cm以下のものでは22%にすぎなかった. 多発例の重複癌合併率は12.2%で単発例 (6.8%) より有意に高率であった. 多発例の術前免疫能は単発例に比べて低下傾向がみられ, これと胃内多発癌あるいは重複癌発生との関連の可能性が示唆された. 多発例の予後は単発例より不良で, stage IとIIIで有意差がみられた. 多発例では, これらの背景を考慮に入れた術前, 術後のチェックが重要である.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    4
    References
    1
    Citations
    NaN
    KQI
    []