Imaging of pathophysiological mechanisms underlying the recovery from brain damage

2005 
脳卒中の発症から数日あるいは数週間にみられる回復過程には,脳浮腫の消退,壊死組織の吸収,血管新生,血腫の吸収,側副循環の発達などや,生理的活性物質の放出や遺伝子表現の変化などの謂わばハードウエア的な変化が起こり,損傷組織の修復が進む.一方,慢性期に移行してからも機能の緩やかな回復が起こる.ここには,機能的な抑制からの開放,周辺領域や対側半球の機能代償の関与などの謂わばソフトウエア的な回復帰転が想定される.また,失語症の回復に関わる脳内の部位的な係わりは,(1)損傷された左半球言語領域の回復,(2)損傷部位周囲の残存領域における機能代償,さらに(3)右半球の対応部位による代償機能あるいは右半球皮質の賦活などが挙げられる.PETを用いた臨床研究の結果から総合的に推論すると,発症から問もない時期の失語症状の回復や言語表出面の改善は,左半球の言語領域の損傷の程度や,損傷部位周辺の機能に依存する可能性が大きい.それ以降に見られる聴覚的言語理解回復など緩やかな回復は,左半球の損傷部位の大きさや局在などの要因に加えて,右半球の代償機能の影響を受けることが示唆される.失語症回復の長期の経過には,右半球の機能が関与する可能性が高いことから,意味解読や語彙・意味機能など,右半球に不十分ながら本来備わっている機能が賦活され,損なわれた言語機能を代償する方向に働き始めると考えられている.
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