頭頸部腫瘍の肉眼像と組織像 : 咽頭・喉頭扁平上皮病変を中心に

2006 
癌の多くは肉眼像で診断され,組織像をもって確定診断される。咽頭·喉頭から発生する悪性腫瘍は大部分扁平上皮癌である。同一の組織型である扁平上皮癌がこれらの部位でどのくらい的確に肉眼診断されているか,あるいは,どのような病変の肉眼診断が難しいか知ることは,病変を正しく診断し,治療する上で重要である。 咽頭·喉頭の肉眼診断と組織診断の異なっている,あるいは肉眼診断が難しい病変は,咽頭と喉頭で異なっている。咽頭は肉眼診断が炎症とされているものの少数に癌が認められる。咽頭にはポリープと肉眼診断される隆起性病変はほとんどない。喉頭はポリープと肉眼診断される病変内に少数癌を認める。白板症は咽頭に1例もない。喉頭では肉眼的に白板症と診断された病変は全体の19%あり,そのうち組織診断で炎症であったものは57%,異形成は26%,癌は17%であり,喉頭の診断で白板症をどのように診断するか難しいことがわかる。 頭頸部の扁平上皮癌はすべて同一の組織型として扱われることが多い。しかし,肉眼形態組織像は発生部位により大きく異なっている。頭頸部癌で最も高頻度である扁平上皮癌病変を正しく診断·治療するためには,発生部位により肉眼形態や組織像に違いがあることを良く理解しておくことが重要である。
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