Neuropsychological Evaluation in Severe Traumatic Brain Injury (Part 2)

重症脳外傷患者15例を対象にし,Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised (WAIS-R)を使用し知能評価を行い,その下位項目に注目した.言語性知能指数(VIQ)は平均87.2(±20.39),動作性知能指数(PIQ)は平均65.0(±15.39)であった.WAIS-Rの日本語版標準化作業の際の母集団と比較すると,知識,算数,類似,絵画完成,絵画配列,積み木,組合せ,符号問題で有意な低下がみられた.患者群のなかで,Functional Independence Measure (FIM)の下位項目の問題解決および記憶項目において5点以上の成績を得たものを同項目良好群と定義すると,15例中4例みられた.これらの群と同項目不良群との間で下位項目の成績を比較すると,良好群では有意に絵画配列,積み木課題および算数課題が良好であった.前2者は,WAIS-Rの他の課題に比し,より創造的,統合的能力を要し,一方算数課題は注意集中力を要し,日常生活上の知的機能を評価するうえで参考になる下位項目であると考えられた.