ストロンチウム-89による多発性骨転移の治療─新しくはじめる施設へ

2008 
有痛性の多発性骨転移に対して,放射性医薬品であるストロンチウム-89(89Sr)は高い除痛効果が報告されている.本剤はすでに海外42カ国で使用されていたが,わが国でも2007年10月に承認され,保険診療として使用可能となった.89Srは体内でCa代謝と類似した動態を示し,Ca代謝が亢進した骨転移部位に選択的に集積し,正常骨髄での吸収線量は転移部位の約1/10である.物理学的半減期は50.5日,純β線放出核種で,β線の最大エネルギーは1.49 MeV(100%),組織中の飛程は平均2.4 mm(最大8 mm)であるため,放射線はほとんど自己吸収され周囲の人への影響は少ない.骨転移例が増加していることから,本剤への期待は大きい.今後のわが国で本治療を開始する医師および施設に対して,89Sr治療の概略と使用上の留意点について報告する.
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