The parenteral control of metabolic acidosis in patients with chronic renal failure

1986 
現行の重曹血液透析では, 一部の患者でアシドーシス補正が行き過ぎ, 慢性的にアルカローシスを示している例すらある. このためCaの異所性沈着・軟部組織のCa含量の増加が予測される. 加えて現在の市販透析液の内容では, 透析後の高Ca血症が頻発するので, これをさらに促進する恐れがある. これに対し経口アルカリ薬は, 患者の身体状況に合わせて調整可能な手軽さがある. われわれは腎不全患者に経口アルカリ薬投与による酸塩基平衡調整の臨床経験を得たのでこれを報告する. 治療対象群を保存期腎不全患者と血液透析患者の2群に分け比較検討した. 使用した薬剤は, 重炭酸ナトリウム末とクエン酸ナトリウム液の2剤である. 後者は, 1本150mlにクエン酸ナトリウムを4.4g含有し, これに甘味料, 香料を加えたものを使用した. 結果は, 保存期腎不全患者では, 投与全例で血液ガスは改善した. しかし自覚症状では, 1例で消化器症状の軽度改善を認めたのみであった. 体重, 心胸比, 平均血圧は, 2-4週間の投与後全例有意に増加した. この結果から, 保存期腎不全患者にNa塩のアルカリ剤を投与する場合は, 個々の患者のNa排泄能力を正確に見極めて使用することが必要であり, 骨病変が明確な例を除き治療対象とすべきではないと考えられた. これに対して血液透析患者の治療結果は, 予想に反して良好に管理することが可能であった. この原因として, 患者ごとの細かい体液管理の修正が可能で, 透析間の体重増加幅が大きくても循環動態が安定しており除水が容易なためである. また透析患者では, クエン酸ナトリウムの経口投与のみで酸塩基平衡を維持することが可能であった. 重炭酸ナトリウムはpalatabilityに若干問題があり, 特に高齢者では顕著であったが, クエン酸ナトリウムは, 飲用しやすく, wash-out感の強い透析終了後の服用は好評であった.
    • Correction
    • Source
    • Cite
    • Save
    • Machine Reading By IdeaReader
    0
    References
    0
    Citations
    NaN
    KQI
    []