瀬戸内海における溶存態無機リン・窒素・珪素分布の特徴とその要因

2003 
大阪と別府を結ぶフェリーを用いて得られた瀬戸内海表層における溶存態無機リン(Dissolved Inorganic Phosphorus:DIP),溶存態無機窒素(Dissolved Inorganic Nitrogen: DIN),溶存態珪素(Dissolved Silicate: DSi)濃度の観測結果から, 1994年~2000年冬季の平均値を用いて,瀬戸内海におけるDIP, DIN, DSi分布の特徴を比較した。その結果,大阪湾で最も高濃度となり瀬戸内海西部で低濃度となるDIP・DIN濃度分布と異なり,瀬戸内海におけるDSi濃度分布は大阪湾と別府湾で高濃度となることことがわかった。その理由は,これらの海域に対する単位容積当たりのDSi負荷量が大きいことに加えて. DSiはDIPやDINと比較すると,植物プランクトンに取り込まれ,懸濁態化された珪素が窒素やリンより分解されにくく,それぞれの灘・湾におけるDSiの平均滞留時間がDIPやDINと比較すると長くなるからである.また備讃瀬戸は単位容積あたりのTP (Total Phosphorus: 全リン),TN(Total Nitrogen: 全窒素), DSi負荷が大きいにも関わらず, DIP, DIN, DSi濃度は低い。それはこの海域の強い潮流が流入したDIP, DIN, DSiをすみやかに隣接海域に輸送するためである。
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