Posttraumatic Changes in Plasma Free Plasminogen Activator Inhibitor-1 in Patients with Multiple Trauma and Severe Burn

1996 
外傷後の線溶系の変動とくにfree PAI-1の反応を検討するため,搬入時ショックを呈した多発外傷10例[男6:女4,平均年齢42.1歳(19~78歳),平均injury severity score 32.6 (25~48),転帰:軽快退院9,多臓器不全死1],重症熱傷5例[男2:女3,平均年齢45.2歳(27~78歳),平均総熱傷面積42.0% (32~67%),平均burn index 31.6 (21~46),転帰:軽快退院4,多臓器不全死1]を対象に,受傷直後から第7日まで経時的に血漿t-PA, PAI-1およびt-PA・PAI-1 complexをenzyme immunoassay法にて測定しfree PAI-1およびfree t-PAを算出した。その結果,(1) total PAI-1とfree PAI-1の間に強い正相関がみられ,総抗原量の増加は活性の増加と判断された。(2) euglobulin clot lysis timeの測定で溶解を認めなかった検体は,free t-PA値の著明な低下を呈したことより,線溶活性はfree PAI-1の産生に規定されると考えられた。(3) t-PAは受傷後より持続的に基準値の2~3倍の範囲内に増加したが,free PAI-1は受傷直後から基準値の30~70倍の増加を示した。この結果,free t-PA値は受傷直後から0.5以下に低下し,とくに熱傷群では168時間まで低線溶状態が続いた。これは受傷直後の侵襲に加え,敗血症の新たな関与が考えられた。(4) free PAI-1値とthrombin-antithrombin III complex/plasmin-α2 plasmin inhibitor complex, antithrombin IIIおよび乳酸値との間に有意の相関が認められた。(5) AT III/free PAI-1平均値は死亡群で有意に低下した(p<0.05)。以上より,受傷直後から過凝固とそれに伴う反応性の線溶亢進が出現するが,12時間以後はPAI-1の産生亢進により低線溶状態へ移行した。このPAI-1の増加は過凝固の傾向に拍車をかけ,とくにAT III/free PAI-1の低下は過凝固・低線溶を背景とする臓器障害を反映するものと考えられる。外傷直後および敗血症においては,線溶系の変動に十分注目し臓器障害型DICの予防に努めるべきである。
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