A Case of Primary Lung Adenocarcinoma with a Thin-Walled Cavity.

2000 
薄壁空洞を形成した原発性肺腺癌を経験した.症例は59歳, 男性.咳嗽, 血痰, 発熱を主訴に近医受診, 胸部X線写真およびCT写真上, 右上葉に直径約6.5cm大の薄壁空洞を伴う陰影を認め当院紹介となった.精査にて原発性肺腺癌と診断, 右上葉切除術を施行した.病理診断で低分化型腺癌と診断 (P-T3NOMO), また空洞壁内には壊死組織凝血壊死像やfibrinの析出を認めた.空洞形成の原因は腫瘍内部の壊死によると考えられた.術後5カ月目に左肺野に同様の薄壁空洞が多数出現し転移と診断, その後も空洞は急速に発育し, 10カ月目に癌死した.肺癌における薄壁空洞形成は比較的稀である.自験例における空洞形成の成因は病理所見, 臨床経過などから癌細胞自体から分泌される蛋白分解酵素によるCell Autophagism説が疑われた.文献的考察を加え報告する.
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