Clinical evaluation of FUT-175 as a regional anti-coagulant in hemodialysis
1987
107例の術後ないし出血性合併症をもつ血液透析患者を対象に, nafamostat mesilate (FUT-175; FUT) を抗凝固薬として使用した血液透析を平均7.5回 (約16日間) 施行し, その透析用局所抗凝固薬としての有用性を多施設共同研究にて検討した. FUTの有効投与量は34.2±1.2mg/hrと判定され, 本投与量投与時には, 対照としたヘパリンを用いた血液透析時 (減ヘパリン化法または局所ヘパリン化法) に比較して, 透析器内残血は減ヘパリン化法よりも有意に少なく, 局所ヘパリン化法とは差がなかった. また動・静脈側ドリップチェンバー内残血にヘパリン使用時との差は認められなかった. 血液透析中のセライト活性化凝固時間 (CCT) は体内循環血液で全く延長しないのに対し, 体外循環路内血液ではヘパリンと同等ないしそれ以上に延長し, 透析終了後15分でもCCTの延長は全く認められなかった. FUT使用中, 透析の開始により出血の増悪した透析は21/573 (3.7%) に止まり, 透析前から活動性出血がみられた145透析中134透析 (92.4%) で出血の増悪なしに血液透析が可能であった. またブラッドアクセス穿刺部抜針後の止血時間は70%の症例でヘパリン使用時に比して短縮した. FUT使用期間中透析・除水効率は高く保たれ, 全体としで異常な臨床検査値の変動は認められなかった. 副作用は嘔気, 嘔吐の消化器症状が4例, 頭痛, 全身掻痒感各1例の計6例にみられ, うち4例はFUTとの関連性は不明と判定された. 不明例を含め副作用発現率は症例数当り5.6%, 透析回数で1.2%であった. 局所抗凝固薬としてのFUTの薬効評価は有効率95.3%, 安全率97.2%, 有用率94.4%と判定された. 以上の成績より, FUTは血液透析用局所抗凝固薬として, 特に手術前後および出血性合併症を有する透析患者の血液透析に広く臨床効果が期待できる.
- Correction
- Source
- Cite
- Save
- Machine Reading By IdeaReader
0
References
3
Citations
NaN
KQI