ゼフィラミンの存在下タイロンによるモリブデン(VI)の溶媒抽出-吸光光度定量および鉄鋼中のモリブデンの定量への応用
1972
ゼフィラミンの存在において,モリブデンはタイロンと黄色の沈殿を生成し,約pH8.0においてクロロホルムに抽出され,390nmに吸収極大を示す.共存イオンの影響を除去するため,モリブデンをα-ベンゾインオキシム錯体としてクロロホルムに抽出し,ゼフィラミンの存在においてα-ベンゾインオキシムとタイロンとの配位子置換を行なわせ,モリブデン-タイロン-ゼフィラミン三元錯体のクロロホルム溶液の吸光度を測定した.この方法を鉄鋼中のモリブデンの定量に応用した.鉄鋼試料1.0~0.1gを精ひょうし,過塩素酸または王水で分解後,100mlに希釈し,その10mlを分取して10%L-アスコルビン酸2mlを加え全容を20mlとし,0.2%α-ベンゾインオキシム-クロロホルム溶液10mlで抽出する.抽出有機相5mlを分取し,pH8.0の緩衝溶液5ml,0.8%タイロン2ml,10-2Mゼフィラミン2mlを加え,3分間振り混ぜる.5分間静置したのち,390nmにおいてクロロホルムを対照として吸光度を測定する.アスコルビン酸の添加は,モリブデン錯体の抽出および吸光度に影響を与えなかった.タングステンは妨害する.
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