Pulmonary embolism in stroke patients.
1997
脳卒中患者のうち臨床症候・肺シンチグラフィー・剖検で肺塞栓症 (PE) と診断された41例 (平均年齢68.0±9.1歳) を対象とし, その臨床的特徴を検討した.原疾患は脳梗塞28例, 脳出血10例, くも膜下出血3例であり, 発症後1カ月未満に75%がPEを合併した.高頻度の臨床症候は呼吸困難, 血圧低下, 頻呼吸, 頻脈, 胸痛であった.臨床検査所見では低CO2血症を伴う低O2血症とのPE発症前からの血清LDH値の上昇傾向が特徴的であった.危険因子は意識障害や麻痺による臥位状態, 心疾患であり, 特に心房細動は29人の心疾患合併者のうち17人に認められた.PEの死亡率は39%であった.ウロキナーゼによる血栓線溶療法やヘパリン, ワーファリンによる抗凝固療法を施行した21例のうち14例 (67%) は治癒し, これらの療法は有効であった.治療を行うためには臨床症候と動脈血液ガス分析からPEを疑い直ちに肺シンチグラフィーを施行して早期診断することが重要である.脳卒中後の臥床状態では, 下肢静脈はうっ血し血栓が形成されやすくPEの危険性が高いので, その予防には脳卒中後早期からのベッド上のリハビリテーション, 下肢の挙上, 弾性ストッキングの着用が望まれ, また心疾患合併者には心機能管理が重要である.LDHの変動はPE発症の危険性を知る指標になる可能性が示唆された.
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