TS-1新規投与法を用いた術前化学療法によりCR となった口唇癌の1例

2006 
術前療法の目的で行ったTS-1による化学療法により原発巣,ならびに頸部リンパ節の転移巣が消失した口唇癌症例を経験したので報告する。症例は49歳,男性。下口唇癌(扁平上皮癌T1N2cM0)。両側頸郭清術を含めた治療を計画し,術前化学療法として当科で新たに開発した新規TS-1投与法により,外来通院にて治療を開始した。TS-1の投与は,120mg/dayを5日間投薬,2日間休薬のサイクルで3週施行し,第4週に休薬する方法で1コース行った。その結果,原発巣は消失し頸部リンパ節の著しい縮小を認めた。術前化学療法施行中,口内炎以外に明らかな副作用は認められなかった。化学療法後,左頸部に触知したリンパ節を腫瘍の残存と考えて左側頸部郭清術を施行したところ,病理組織所見ではリンパ節内に癌細胞は残存せず,硝子化を認めるのみで病理学的CR と判定された。今回試みたTS-1の新規投与法は,効果も高い上に副作用も軽度で頭頸部癌に対する化学療法として極めて有効であると考えられた。
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